解説内で使用する略語について

B/S 貸借対照表
P/L 損益計算書
S/S 株主資本等変動計算書
F/S 財務諸表
C/F キャッシュフロー(計算書)
第1問
(1)
a ア・イ
株主総会提出のためや租税目的のためなど,利用目的の違いから異なる形式の財務諸表を作成する必要がある場合,それらの内容は信頼しうる (ア) に基づいて作成されたものであって,政策の考慮のために事実の真実な表示をゆがめてはならない。これを (イ) の原則という。
内容:単一性の原則

株主総会提出のため、信用目的のため、租税目的のため等種々の目的のために異なる形式の財務諸表を作成する必要がある場合、それらの内容は、信頼しうる会計記録に基づいて作成されたものであって、政策の考慮のために事実の真実な表示をゆがめてはならない。

(企業会計原則 第一 一般原則 七)

損益計算書と貸借対照表を作ろうとしたときに、「P/Lは利益が大きくなるように、B/Sは純資産が大きくなるように、ちょっと改ざんして作ろう」なんてやったら、財務諸表を見る人は困っちゃう。だから、そんなことが起こらないように、F/Sを作るときは、信頼できる、単一(どれも同じ)の正しい会計記録をもとにしようね。というのがこの原則だよ。

ア:3(会計記録) イ:6(単一性)
b ウ・エ
損益計算書の作成にあたっては,収益項目とそれに関連する費用項目とを対応表示させなければならない。これを (ウ) の原則といい,たとえば,売上高と (エ) を対応させて,表示するのはこの原則によるものである。
内容:費用収益対応の原則

費用及び収益は、その発生源泉に従って明瞭に分類し、各収益項目とそれに関連する費用項目とを損益計算書に対応表示しなければならない。

(企業会計原則 第二 損益計算書原則 一C)

損益計算書を作るときは、収益を費用に対応させて表示させないといけないという原則だよ。
売上高に関連する費用項目は「売上原価」だね。

ウ:7(費用収益対応) エ:1(売上原価)
(2)
a
ASSETS 資産
LIABILITIES 負債
REVENUES 収益
EXPENSES 費用
3(収益)
b

資産を実際に取得して(取得が実現して)収益が実現するという考え方を「実現主義」というよ。

2(実現主義)
第2問
(1) 連結会計

連結会計について詳しくはこちら

連結会計では、個別財務諸表の合算をして、連結修正仕訳を行い、それをもとに金額を修正して連結F/Sを作成します。

この順番を念頭に入れれば、連結修正仕訳というのは、個別F/Sを合算した際に、多く・少なく計上した分を直すという役割があります。

開始仕訳(投資と資本の相殺消去)

連結初年度の開始仕訳では、投資と資本の相殺消去のみを行います。

子会社分の純資産と子会社株式を消去し、のれんと非支配株主持分を計上します。

資本金 20,000 子会社株式 23,900
利益剰余金 7,500 非支配株主持分 5,500
のれん 1,900

資本金・利益剰余金 S/Sより

子会社株式 資料 ii より

のれん 23,900 - (20,000 + 7,500) × 0.8 = 1,900

非支配株主持分 (20,000 + 7,500) × 0.2 = 5,500 or 貸借差額

子会社当期純利益の非支配株主への按分

子会社の利益のうち、非支配株主の持分割合に相当する利益については、非支配株主に帰属する当期純利益として費用みたくな計上して、非支配株主持分を増加させるよ

非支配株主に帰属する当期純利益 600 非支配株主持分 600
S社P/Lより 当期純利益 3,000
3,000 × 0.2 = 600
剰余金の配当の修正

子会社から親会社への配当金は連結会社っていう大きな枠で見ると会社の中での取引だから消去するよ。非支配株主持分への配当も、連結上は剰余金の減少ではなく非支配株主持分の減少として考えるよ

受取配当金 2,000 利益剰余金 2,500
非支配株主持分 500
S/SよりS社配当金 2,500
親会社に対する配当金 2,500 × 0.8 = 2,000 (受取配当金を減額修正)
非支配株主に対する配当金 2,500 × 0.2 = 500 (非支配株主持分を減額修正)
のれんの償却
のれん償却 190 のれん 190
開始仕訳より のれん 1,900
資料 ii より償却期間10年 1,900 ÷ 10 = 190
F/S作成

個別F/Sと連結修正仕訳をもとに連結F/Sを作成します。

連結P/L
売上高 個別P/Lより 87,300 + 36,000 = 123,300
のれん償却 190
当期純利益 7,810 (貸借差額)
非支配株主に帰属する当期純利益 600
親会社株主に帰属する当期純利益 7,210 (貸借差額)
連結S/S
非支配株主持分当期首残高 5,500 (開始仕訳)
親会社株主に帰属する当期純利益当期変動額 7,210 (連結P/Lより)
非支配株主持分当期変動額 500 (配当の修正)
利益剰余金当期末残高 15,000 - 4,000 + 7,210 = 18,210
非支配株主持分当期末残高 5,500 + 600 - 500 = 5,600
連結B/S
のれん 1,900 - 190 = 1,710 (開始仕訳 - のれん償却)
資本金 50,000 + 20,000 - 20,000 = 50,000 (個別B/S合計 - 開始仕訳)
利益剰余金 18,210 (連結S/S期末残高)
非支配株主持分 5,600 (連結S/S期末残高)
ア:123,300 イ:7,210 ウ:1,710 エ:5,600
(2) 企業分析

このような問題は、収益性・安全性の分析に係る各指標がそれぞれどのような計算式で求められるのか、財務諸表はどのような構成になっているのか知っておく必要があるよ。

(まとめた記事を後で貼る)

多くは「(分母)(分子)率」という名前の構成になっているので、わからなくても考えてみる価値はあるよ!

a ア 売上高総利益率
売上総利益率 = 売上総利益 ÷ 売上高

この計算式で求められるんだけど、売上総利益の金額が不明だね。

売上総利益は 売上高から売上原価を引いた金額だよ。

B社売上高 28,800 - 売上原価 16,848 = 11,952

11,952 ÷ 28,800 = 0.415 = 41.5%

ア(B社売上高総利益率) 41.5%
b イ 売上高純利益率
売上高純利益率 = 当期純利益(税引後) ÷ 売上高

ここでは、問題文に「税引後当期純利益を用いて」とあるので、税引後の値を使う。

A社当期純利益 2,080 ÷ 売上高 26,000 = 0.080 = 8.0%

イ(A社売上高純利益率) 8.0%
c ウ・エ 損益計算書の読み取り

特別利益か特別損失のどちらが発生したかは、経常利益と税引前当期純利益を比較しないとわからないね。まずはB社の税引前当期純利益を求めよう。

税引前当期純利益 - 法人税等 = 当期純利益なんだから、当期純利益に法人税等の金額を足せば求まるね。

2,016 + 864 = 2,880 (B社税引前当期純利益)

B社の経常利益と税引前当期純利益を比較すると、税引前当期純利益のほうが金額が小さい。ということは、特別損失が発生しているということだね。通常ない損失が発生したら、もちろん純利益は減少に転じるよ。

ウ 2.特別損失 エ 1.減少
d オ 自己資本比率
(本問において) 自己資本 = 資本金 + 資本剰余金 + 利益剰余金
自己資本比率 = 自己資本 ÷ 総資産

「自己資本」は、株主資本を指し、新株予約権と非支配株主持分は含めないことが多いです。本問においては、純資産として計上されているのが、資本金・資本剰余金・利益剰余金の3つであり、一般にそれらは自己資本と呼ばれること、A社自己資本比率が上記の計算結果が問題文に提示される数値と合致することから、上のように設定されているとして考えます。

B社B/Sより

資本金 97,000 + 資本剰余金 10,300 + 利益剰余金 12,040 = 自己資本合計 119,340

119,340 ÷ 221,000 = 0.540 = 54.0%

オ(B社自己資本比率) 54.0%
e カ 固定比率
固定比率 = 固定資産 ÷ 自己資本

A社固定資産額

A社の固定資産に該当するのは、建物・備品・特許権・投資有価証券の4つだね。

すべての金額を合計すると、

96,320 + 21,744 + 600 + 1,300 = 119,964

自己資本はさっきと同じように、(ここでは) 資本金・資本剰余金・利益剰余金の3つだから

66,400 + 6,100 + 7,476 = 79,976

∴ 119,964 ÷ 79,976 = 1.500 = 150.0%

問題文にもある通り、自己資本額よりも固定資産額のほうが大きいということは、固定資産の取得が自分のお金でまかなえてないということになるね。

力(A社固定比率) 150.0%
f キ 流動比率 ク 安全性の分析
流動比率 = 流動資産 ÷ 流動負債

流動資産・負債というのは、

  • 通常の営業活動で増減する資産・負債
  • 上に該当しなくとも、1年以内に現金化される資産・返済する負債

のことを指すよ。

この問題においては、現金預金から前払費用までの資産、買掛金から未払法人税等までの負債がそれぞれ流動資産・流動負債に該当するよ。

B社の流動資産合計は

88,195 + 2,746 + 38,174 + 1,980 + 214 + 186 = 131,495

流動負債合計は

22,800 + 13,220 + 4,013 + 19,000 + 467 = 59,500

131,495 ÷ 59,500 = 2.210 = 221.0%

このことから、B社のほうがA社よりも流動比率が高いことがわかるね。

また、流動比率が高いということは、短期的な視点で見ると、獲得するキャッシュのほうが多いということで、安全性が高いということができるんだ。

ということは、より流動比率が高いB社のほうが、安全性が高いといえるね。

キ(B社流動比率) 221.0% ク 2.B社
(3) 売価還元法
期末原価率 = (期首商品原価 + 当期仕入原価) ÷ (期首商品売価 + 当期仕入分売価)

売価還元法は、期首商品と当期仕入分の原価率から、期末商品の原価を算定する方法だよ。

上の公式にのっとってやると

(1,573,000 + 18,029,000) ÷ (2,420,000 + 26,620,000) = 0.675 = 67.5%

原価率は67.5%ということがわかったね。これを期末棚卸分の売価にかければ、計算上の原価が求まるよ。

2,840,000 × 67.5% = 1,917,000

期末商品原価 1,917,000
第3問
(1)
勘定の分類

元帳勘定残高のうち、

現金から長期貸付金までが資産

支払手形から退職給付引当金までが負債

資本金から繰越利益剰余金までが純資産

売上から固定資産売却益までが収益

仕入から固定資産売却損までが費用

に該当するよ。それぞれの勘定科目がどの区分に分類されるのか、しっかり把握しておこう!

(2)
付記事項①

仮受金と売掛金をともに減らす。

仮受金 74,400 売掛金 74,400

これらの事項は何を意味しているかというと、会計期末はR6/3/31で、この貸付金の返済期日はR6/8/31。つまり、1年以内に帰ってくる貸付金ということだね。
これが今は長期貸付金の区分に計上されているから、決算でB/Sを作るときには、短期貸付金の欄に組み入れないといけないよっていうことを示しているんだ。

決算整理事項 a.期末商品棚卸高

所謂しーくりくりしーをやるよ
まずは、繰越商品(期首の商品)を当期の売上原価に組み入れて、期末の商品を当期の売上原価から除外しよう。期末商品の計算は帳簿残高で行うよ。
その後、実地棚卸数量が帳簿量より減っていたら、その分に原価をかけて棚卸減耗損を。
正味売却価額が原価より減少していたら、その分に実地棚卸数量をかけて商品評価損を計上してね。(評価益は計上しないよ)
指示にある通り、棚卸減耗損・商品評価損は最終的には売上原価に計上されるよ。

仕入 2,976,000 繰越商品 2,976,000
繰越商品 3,165,000 仕入 3,165,000
棚卸減耗損 60,000 繰越商品 140,000
商品評価損 80,000
売上原価 140,000 棚卸減耗損 60,000
商品評価損 80,000
2,976,000 → 繰越商品残高より
@¥1,500 × 990個 + @¥2,100 × 800個 = 3,165,000
@¥1,500 × (950 - 990)個 = △60,000 (棚卸減耗損)
@¥(2,000 - 2,100) × 800個 = △80,000 (商品評価損)
第4問
a 保証債務と小切手の振出

保証債務というのは、自分が裏書譲渡した手形の振出人が、手形の金額を支払えず、自分が支払わないといけなくなった時のためにプールしておくお金のことだよ。
小切手を振り出したら当座預金の減少になるよ。

仕入 400,000 受取手形 300,000
当座預金 100,000
保証債務費用 3,000 保証債務 3,000
受取手形 300,000 × 1% = 3,000
b 端数利息

端数利息とは
最後の利払日から、購入日までその証券を持っていたということは、その分の利息を受け取る権利があるよね。だけど、次の利払日に証券を持っていないと、利息が受け取れない。だから、購入者が将来受け取る利息のうち、売却者が持っていた日数に応じた分を代わりに支払うんだよ。
将来利息を受け取れば、有価証券利息は貸方に計上される。そのうち売却者が受け取るに相当する分

売買目的有価証券 6,461,000 当座預金 6,487,000
有価証券利息 26,000
有価証券の購入額
6,500,000 × 99.20 / 100 = 6,448,000
6,448,000 + 13,000 = 6,461,000

端数利息の金額
6,487,000 - 6,461,000 = 26,000
c 固定資産の買い換え

備品を買い入れたんだから、借方に備品。
備品を手放したんだから貸方に備品。こっちは簿価(この場合は購入価格)で計上してね。
で、備品を手放したんだからそれに対応する減価償却累計額も記録する必要はなくなるね。だから借方に、対応する減価償却累計額を書くよ。
備品の残存価値と下取り代金を比較して、下取り代金のほうが大きかったら差額を固定資産売却益、少なかったら固定資産売却損として記録しよう。
まだ払っていないお金は未払金だよ。営業取引じゃないからね。

備品 3,450,000 備品 3,200,000
備品減価償却累計額 2,160,000 未払金 2,580,000
固定資産売却損 170,000
3,200,000 - 2,160,000 = 1,040,000
870,000 - 1,040,000 = △170,000 (固定資産売却損)
3,450,000 - 870,000 = 2,580,000 (未払金)
d リース取引

締結しただけだから、リース資産とリース債務を計上するだけだよ。
計上する金額は、貸手の購入価額か、リース料総額の現在価値と見積現金購入価額のいずれか低いほうなんだけど、見積現金購入価額しか提示されてないからこの金額を使おう!

リース資産 6,600,000 リース債務 6,600,000
e 利益剰余金の配当

剰余金の配当を行うときには、配当する金額の1/10の金額を利益準備金に積み立てるよ。
ただし、準備金の合計額は資本金の1/4の金額を超えないようにしてね。

繰越利益剰余金 3,010,000 未払配当金 2,400,000
利益準備金 240,000
別途積立金 370,000
2,400,000 × 1/10 = 240,000
58,000,000 × 1/4 - (7,500,000 + 2,750,000) > 240,000
∴ 利益準備金の積立額 240,000
f 仕入割引

買掛金の支払いを早期に行うことにより受けた割引は、「仕入割引」勘定(収益)に計上するよ。
ちなみに、商品を多く購入したことによって受けた割引は「仕入割戻」(仕入のマイナス)勘定だよ。

買掛金 250,000 当座預金 245,000
仕入割引 5,000
250,000 × 2% = 5,000 (仕入割引)
g その他有価証券の時価評価(税効果会計)

その他有価証券を時価評価した差額は、(全部時価評価法の場合)すべて純資産に計上されます。
もし評価差額が他の有価証券のように収益として計上されれば、税金が発生しますので、税額控除後の値が純資産に、税金相当額は負債(未払法人税等)に計上されます。
そうなると、税効果会計を適用しないB/Sと結果が対応しません。(負債が少ない/純資産が多い)
この差異の整合性をB/S上で図るためにその他有価証券には税効果会計が適用されるのです。

その他有価証券 720,000 その他有価証券評価差額金 504,000
繰延税金負債 216,000
(1,120 - 940) × 4,000 = 720,000 (評価差額)
720,000 × 30% = 216,000 (繰延税金負債)